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自由に旅する
自転車キャンプ

自由に旅する自転車キャンプ

9月だというのに猛暑日続き、中秋の名月なんて言葉を目にして、ようやく秋の訪れを感じた。
この夏やり残したことはないかと考えていると、ふと自転車で神奈川の三浦半島を巡ってみたいと思った。都心からアクセスしやすいのに、壮大な景観を楽しむことができるため、多くのサイクリストが訪れる場所だ。自転車で日本各地を旅する私だが、それが故、未開拓の地であった。
今回はゆるく観光名所をサイクリングで巡って、夜は海岸沿いで波の音を聞きながらキャンプをしてみよう。

 

自転車で旅をする

自転車で旅をする

私は日本各地を自転車で巡りながら、キャンプを楽しんでいる。旅をしながらキャンプをするスタイルが好きな自分にとって、風を感じながら行きたい場所へルートを決められる自転車はまさにぴったりの移動手段である。
今日も頼れる相棒のグラベルロードバイクを車から下ろしたら、三浦半島を周るサイクリングへ出た。

風の音とともに通り過ぎていく

せっかく三浦半島まで来たなら、まずは海が見える方角へ田んぼに囲まれた道をひたすら直進。車通りも少ない道は、マイペースかつ快適に乗ることができて好きだ。農家さんが黙々と作業をするのどかな光景が、風の音とともに通り過ぎていく。

巨大な風車が現れた

駅のある国道から港の方へ下っていくと、巨大な風車が現れた。実物を見る機会も少ないだろうと、水分補給をしながらじっくり鑑賞タイム。やはり近くで見たい、という衝動に駆られ、進行方向を風車の方へ軌道修正。その時の気分でルートを決められる気軽さが、自転車旅の良いところ。

風力タービン

風力タービンの近くまでくると、想像していたよりもはるかに大きくて迫力満点。ゴーンというかブオーンというか、形容し難い回転音を初めて耳にする。
計画に無い発見や自由さもまた旅の醍醐味である。

 

海沿いを駆け抜ける楽しさ

  • 海沿いを駆け抜ける楽しさ
  • 海沿いを駆け抜ける楽しさ
  • 海沿いを駆け抜ける楽しさ
  • 海沿いを駆け抜ける楽しさ

タービンを背に少し行くと、左手に港や防波堤を一望できる橋を駆け抜けることができる。風を感じながら美しい景色を見ていると、疲れを忘れてどんどんペダルを漕いでいける。

いざ目的地の劔崎灯台へ。神奈川の景勝地にも指定されており、日本で7番目に建てられた洋式灯台を間近で見ることができる。ここでひと息つきながら、最終目的地へ向かう前に自転車のメンテナンス。走行中に荷物がズレないように、しっかりとベルトを締め直し固定する。

 

ミニマムな装備で
キャンプを楽しむ

ミニマムな装備でキャンプを楽しむ

三浦半島南部のサイクリング旅を締めくくるのは、海岸沿いでのキャンプ。何年もかけて波に削られた岩場や、地層がくっきりと浮かび上がる低山の間に位置するフィールドは、まるで海外にいるかのような壮大なスケール感。そんな景観に囲まれながら、焚き火や釣りを楽しむとしよう。

自転車からの荷降ろし

自転車に積載した荷物を下ろしたら、早速テントを設営していく。自転車旅において、テントをはじめとするキャンプギアに求めるのは「軽量・コンパクト・扱いやすさ」。自転車のスタンドパーツをペダル部分につけて、テントの横へ自立させれば私のサイトは完成だ。

焚き火の準備

設営が終わったら、まずは焚き火。薪が着火しやすいようにフェザースティックを作っていく。オートキャンプよりも持っていく道具が限られるため、知恵が頼りだ。ナイフやロープワークは、誰に教えられるわけでもなく、経験を重ねるにつれて自然と身に付いていった。

料理も焚き火も全部楽しむ

ミニマムな装備で余計な道具を使わず、料理も焚き火も全部楽しむのが私のスタイルだ。サイクリングで体を動かした後の食事は何を食べても美味しいけれど、自由で誰にも邪魔されず、この壮大な景観を独り占めできる環境こそが、最大のスパイスとなっている気がする。

自転車もキャンプもひとつの手段といえるが、旅という目的がありながらそれぞれを全力で楽しむというのも私のスタイルなのかもしれない。