STORY
自転車キャンプを快適にする
装備と旅ご飯

日本の各地を自転車で旅をしながら、夜はキャンプを楽しむ「自転車キャンプ」。サイクリングとキャンプを両方楽しみたいというワガママを叶えるには知恵と工夫が必要だ。そんな知的欲求を追求していくなかで辿り着いた愛用ギアと、簡単キャンプ飯に今回はフォーカスしていく。
旅を支える
グラベルロードバイク

旅をしながらキャンプをする私のスタイルに最適な自転車とは何かを考えたときに、グラベルロードバイクに出会った。元々はアメリカのキャンプツーリング向けに作られたこともあり、オフロードでも走破できるオールマイティな自転車は、まさに旅好きの自分にとって最適な一台だ。
自転車の心臓とも言えるコンポーネントにはSHIMANOの「GRX」を搭載。グラベルライドに特化した性能は、自分のスタイルでもありロングライドやオフロードでも安定した走行が実感できている。
旅を共にする装備品とは

自転車の前後とフレーム部分の3箇所に分けてアイテムをパッキング、積載している。前方のハンドル部分には、すぐに取り出せる軽食やボトル、エマージェンシーキットなどを収納。後方にはテントやポール、天候に対応するシェルなど、キャンプギアをまとめている。

当然自転車に積むことを考えると「軽量」且つ「コンパクト」であることは必須条件。トレッキングやハイキングなどでも使用されるUL(ウルトラライト)系のギアならその条件をいずれも満たしてくれる。さらにいうと一人三役的な使い方ができる汎用性の高いギアを選ぶことも、装備のミニマム化に繋がる。

調理の時に活躍するのが炊飯から加熱まで可能な軍式飯盒。男らしいルックスと長年変わらないデザインがお気に入りで、持ち運ぶ際は、バーナーやマグカップなどをスタッキングできるケースとしても一役買ってくれる優秀な奴だ。

暖を取るのと飯を作るのは焚火台で行う。愛用しているのは、重量わずか275gと超軽量のピコグリルだ。昨今UL系の焚き火台は種類も増えたが、ピコグリルは調理しやすい五徳の高さと灰の処理が簡単という点で、ロングトレイルからソロキャンプまで重宝しているアイテムだ。

基本は地べたに座るかロースタイルでキャンプを楽しむ。突然の雨でにも素早く対応できるよう、レイアウト範囲も最小限に。アイテム数を厳選することで、自転車キャンプが可能な積載量がキープできるのだ。
簡単に、美味しく、自由に
私がキャンプ飯に求めるものは簡単かつスピーディーにできるもの。天候や体調などによってキャンプ地に着く頃には日が暮れかかっている……なんてことも少なくないからだ。とはいえ食事も楽しみのひとつなので、出来るだけその日の気分に合わせてメニューを選んでいる。よく作るのはコンビニやスーパーなどで手に入る冷凍シュウマイ。飯盒で白米を炊きながら、上蓋でシュウマイを蒸すことができるため、効率が良く、時短にもなる。

炒め野菜には軍式飯盒の上蓋をフライパンとして使用。塩とコショウでシンプルに味付けすれば、わずか20分で3品もの料理が完成する。SNSで映えるような料理はまだ作れないが、今後は料理の腕も磨いていきたい。

旅を続けていくと、自分が本当に必要なものは何かが段々浮かび上がってくる感覚がある。現状のスタイルが完成系ではなく、今後も日々進化していくことだろう。自分自身もギアを企画、開発する身として、実際に使い勝手を検証し、使い続けていくことが大切だと痛感している。
もちろん道具に頼るばかりでなく、自分の知識やアイデアもアップデートさせていく。道具と知恵のバランス感覚がアウトドアを楽しむ上で大切なのかもしれない。