STORY

仕事を忘れて楽しむ
秋の管釣り

仕事を忘れて楽しむ秋の管釣り

40代、仕事に脂が乗って休日もなかなか取りにくい日々が続いている。ただでさえ家族との時間が少ない上、8月に第一子が生まれたこともあり「ちょっと釣り行ってくる」なんてとてもじゃないけど言えない。北関東に紅葉の便りが届く頃、今年は数えるくらいしか竿を振っていないのもあり、小1時間だけ釣りに行こうと決めた。

 

いざ 
久しぶりの釣り場へ

  • クルマに積み込む
  • タックル

本州の渓流シーズンも終わりを迎える10月。タックルと念の為のテレワークグッズをクルマに積み込んで自宅を出る。釣り番組を観ては飢えをしのいでいたが、渓流への想いは余計に募るばかりである。前日の夜遅くに帰宅してから準備したため寝不足ではあるものの、心は軽やかだ。自然渓流では当然イチバンに入渓したいので、現場に前泊あるいは深夜発で向かうことが多かったが、なかなかその時間が取れないので兎に角早起きがキモである。

  • 大自然の中にある管理釣り場
  • 大自然の中にある管理釣り場

幸いワタシはキャンプを中心としたアウトドア関係の仕事をしているため、釣りを含むアクティビティーに関わることも少なくない。ただ、休日に楽しむそれと、仕事で関わるとでは心の持ちようが大違いだ。仕事を忘れるくらい没頭したいのである。
今日の目当ては自宅から1時間半ほどの距離にある管理釣り場。大自然の中で仕事をすることが多いのもあり、関東近郊の自然には心動くことが少なくなってしまったが、それでも尚渓流を見ると心がザワついてしまうのは釣り人の性か。

入渓

ちなみに釣りを始めてからというもの自然渓流しか攻めてこなかったが、管釣りの楽しさも最近わかってきたところである。この日はしっかり寝坊して到着した頃には水面に日が差し込んでいる。平日だろうが8時も過ぎれば釣り場は賑わいをみせる。思い思いに竿を振る釣り人たちのいる空間に入ると「ただいま」なんて思ってしまう自分が少し恥ずかしい。ナルシシズムもほどほどに、1時間と決めているのでそそくさと着替えて入渓。

 

夢中で竿を振る
至福のひととき

  • 石仕切りのないストリーム
  • 魚が食いつくと信じて

「風も強いし、今日はオススメしません」と言われた石仕切りのないストリーム。そう言われるとトライしたくなってしまうものだが、ドライフライしか使わないワタシにとっては戦意喪失するくらい上流から風が吹き上げていた。もちろん坊主は嫌だが、テンカラにおいては一投一投、魚が食いつくと信じて竿を振っているからか、手ぶらで帰ったとしても楽しさは存分に味わえる。他の釣法よりキャスティング数が多いし源流域を目指すとなると沢登りに近いことまでするので、事後の疲労感も相当なものだが、それ以上に得るものは大きい。

  • テンカラ竿に入魂
ニジマスを釣り上げることができた

吹いたり止んだりする風の隙間を縫って粘り強く毛鉤を打ち込む。万が一釣れなかった時の言い訳は「カメラマンが前にいるから」と決めていたが、制限時間ギリギリでニジマスを釣り上げることができた。流芯から飛び出して毛鉤にバクッと食いつく元気のいい子だった。初めて卸したテンカラ竿に無事入魂することも出来たし、今日は良し◎としよう。