STORY

親子で過ごす
アウトドアな時間

親子で過ごすアウトドアな時間 親子で過ごすアウトドアな時間

私には14歳になる一人息子がいる。小さい頃はよく一緒に出かけたのだが、最近は家で話しかけても一言しか返事がない。どうやら親とのコミュニケーションや外の世界よりもスマホやテレビゲームに夢中のようだ。梅雨が明けであろう最初の休日、思い切って息子をキャンプに連れ出してみよう。川のせせらぎが心地よく聞こえるフィールドに二人だけともなれば、日頃できた距離を縮めることができるかもしれない。

親子2人きりで自然の中へ

親子2人きりで自然の中へ

自宅から30分ほど車を走らせると、普段から一人で焚き火を楽しんでいるお気に入りのキャンプ場へ着く。道中であまり乗り気ではない顔をしていた息子も、せっせと荷下ろしする私の姿を見て空気を読んだのか、食材がパンパンに詰まったクーラーを運んでいく。

不慣れな手つきでペグを打ち込む

彼が小さい頃はキャンプに連れて行ったものだが、本格的にテントの立て方を教えるのは初めてかもしれない。不慣れな手つきでペグを打ち込んでいくも、息子の顔つきは次第に真剣そのものに。

アウトドアな遊び方を伝授

アウトドアな遊び方を伝授

アウトドアの知識で教えたいことは山ほどあるが、男たるもの焚き火の火くらいは一人でつけられるようになって欲しいものだ。薪を細く削って着火しやすくさせるフェザースティックは、ナイフを正しく安全に使うことにおいてもいい経験になる。横で黙って見ていると、初めてにしては筋がいい。手先が器用なのは母親似なのかもしれない。

ファイアースターター

ガス式のライターではなく、ファイヤースターターで火をつけるのも一つの遊び方。最初は空振りを繰り返していたが、息子の手つきもだんだんと慣れてきて、大きな火花を出せるように。悪戦苦闘の末、無事に火がついた瞬間、息子が自分に振り返って放った渾身のドヤ顔は一生忘れることはないだろう。なんでも簡単に手に入る時代で、何かに苦労する経験も大切だ。

火の管理

料理で伝える父の威厳

息子の付けてくれた火が順調に燃え上がるなか、ここからはバトンタッチ。フェザースティックを猛練習している息子を視界に入れてニヤつきながらも、調理の準備を始めていく。

自然に馴染むサンドベージュが特徴のICEBOX

前の日から家で仕込んだ食材をクーラーから取り出す。自然に馴染むサンドベージュが特徴のICEBOXは、保冷力もサイズ感もお気に入り。直火での調理は手際の良さが試されるため、両開きや、蓋ごと着脱できる機能にいつも助けられている。

丁度良いサイズのスキレット

メインの肉と野菜を炒めるのに丁度良いサイズのスキレットも、気がつけば10年選手。キャンプでは必ず持っていく相棒的な存在である。側では付け合わせのフライドポテトを準備。ローズマリーと一緒に揚げ、香りをつけるのは妻から仕入れたテクニックだ。間にトマトやチーズを組み合わせれば、親父流ハンバーガーの完成となる。

  • 味の感想を言えないほどハンバーガーを頬張る息子
  • 待ちくたびれたと言わんばかりの顔で近づいてきた息子は、完成したバーガーを見て「すげー!」と驚きの表情。そのリアクションを見れただけで、昨日からの入念な仕込みが報われた気がした。味の感想を言えないほどハンバーガーを頬張る息子は、照れながらも満足げな顔をしている。自然に囲まれながら、息子との食事は、私自身も空腹以上に心を満たされた気がした。

焚き火で生まれる親子の絆

腹ごしらえの後は、焚き火をじっくり楽しむ時間へ。火を眺めていると普段なら言わない本音もポロッと出てきたりするものだ。学校や友達のこと、今どんなことに興味があるのか。リラックスした声色で話す息子は、火のいじり方が上手くなってきたようだ。

焚き火をじっくり楽しむ時間

「好きな子はいるのか?」という少し踏み込んだ質問に対しては「いないかなー」とそっけない返し。まあ私も同じ年頃ならそう返すか。
あと何年一緒に時間を共有できるのだろうか。パチパチと音を立てる焚き火を見ながら、頭の片隅でそんなことを考えていたら、息子が「次はどこいく?」と尋ねてきた。

今この時間を全力で向き合うことが大切なのかもしれない

彼の言葉を聞いてふと我に返った。先のことばかり気にしててもしょうがない、今この時間を全力で向き合うことが大切なのかもしれない。 焚き火と共に燃え上がった彼の熱が冷めないうちに、次の計画を練るとしよう。