STORY

ソロキャンプは、
ただ自分を満足させるために

ソロキャンプは、ただ自分を満足させるために

道すがら、陽炎のゆらめく姿が見えたほどの暖かい春の一日。ハイシーズンがやって来る前にいろいろと試したいことがあり、週末を利用して一人でキャンプに出かけた。今日の野営地は釣りとキャンプが楽しめる、ちょっと珍しいスポット。開放感もあってグループキャンプにも最高。きっと夏はとんでもなく賑わうのだろうけど、この日は僕以外はみんな釣り人で、僕のようなソロキャンパーばかりだった。それぞれがやりたいことに打ち込んでいる海辺は、新調したクーラーのテストをするにはバッチリのシチュエーションだった。

 

愛車カラーの新兵力を実戦投入

愛車にぴったりなカラー

これまで分厚くて重いプレミアムクーラーなんてキャンプに必要ないと思っていた僕だけど、このたび改心。13日間も氷をキープすると謳っている「ヴァシランド」に心を揺さぶられ、さらに愛車にぴったりなカラーがあったことが決め手となり、我がキャンプサイトに迎えることになった。

保冷力のグレードによってカラバリが違って、ブルーは最上位モデル。正直高いとは思ったけど、今後数十回、数百回使う一生モノと思えば、決して悪い投資ではないはず。今日はその性能をテストして自分の消費行動に正当性を持たせる……という名目で、自己満足なソロキャンをすることにしたのだ。

カラーリングは最高

好きな時に、好きな道具と、自分が好きなように時間を過ごす。僕が思うに、キャンプを目的としたソロキャンプは、大なり小なり絶対にナルシズムが伴う。これって別に悪いことじゃなくて、むしろ自分が満足できることを積極的におこなうという意味では健全なことだろう。

そんなことを思いながら、誰に見せるわけでもないのに自分の根城を築き上げ、愛車も含めてサイトをコーディネート。うん。思ったとおり、このカラーリングは最高。寄せては打ち返す小さな波。静かな渚にもハマってるじゃない?

 

余白のある時間を楽しむ

ソロキャンプ

自分は釣りやアクティビティーをしない、ただのキャンプ好き。だけど思えばソロキャンプをやるのは久しぶりだったかも。いつもは誰かしらと一緒だから、ダラダラしてたらいつの間にか夜になっているけど、今日は景色を楽しんだりする余裕がたくさんある。

一つひとつの所作にこだわりを持ちたくなり、最適解を求めるからちょっとギークになってしまう感覚。たまに一人でいると、ソロにハマる人の気持ちがよく分かる。最小限の道具でやりくりするブッシュクラフトのスタイルとか、憧れちゃうよな。

  • 着火
  • 着火


いつもは着火剤に頼るところを、今日はフェザースティックを作ってみたりした。不器用な自分にしてはよくできたから誰かに見せたい気もするけど、今日はスマホは封印すると決めたんだ。ストイックに自分の時間を愉しむ孤高の男。とかいって、やっぱり俺もナルシストなのかもしれない。

 

一人の晩餐の始まり

クーラーの中

焚き火の用意ができたら小腹を満たそう。そう思ってソーセージを焼くことにした。テストという名目をすっかり忘れていたが、クーラーの中はやっぱりキンキン。この時にはじめて、この手のものにしたら壁が薄いということに気が付いた。ケッコーやるなシマノ。

ウィンナーが焼ける音

ニューギアに満足感と期待を見出したあとは、何年もかけて育てている鉄のフライパンを使う。誰に食わせるわけでもないから、今晩は焼くだけの簡単調理。ちょっといいウィンナーだから、肉汁が溢れないように気をつけて。
炎のゆらめきとウィンナーが焼ける音を聞きながら黙々とやっていたら、過去最高のパリっと具合でジューシーに焼けた。

 

暮れなずむ海を
眺めながら

黄昏時の時間

焚き火から顔を上げると、茜色に染まった空と海が目の前に広がっていた。太陽の出ている時間が長くなっているということは、黄昏時の時間も長くなっていること。地球がくれるボーナスタイムを享受する、この感覚は感動ものだ。

普段仕事をしていると夕暮れなんて気が付かず、いつの間にか空が暗くなっているけど、確かに季節は巡っている。そんな当たり前のことに改めて気付かせてくれるのが、外遊びの力なんだな。

ビールを取り出す

この時のためにとっておいたビールを取り出し、栓を抜く。やっぱりこのクーラーボックスは一人には余裕がありすぎか。まあいい。夏がきたら誰かを誘ってまたこの場所に来よう。岬に沈んでいく夕日を見ながら、そうボンヤリと決意した。