STORY

テンカラ道具スタイル

テンカラ道具スタイル

釣れるかどうか。
道具選びにおいて、そこにつながらないなら選択肢から外れている。父親は「釣りは道具じゃない」という意見の人だったが、僕は真逆で、釣りは道具だと思う。もちろん、ある一定のレベルまでは道具ではないと思うが、技術を支える良い釣具が必要になる時が必ず来るのだ。

 

自作の楽しさ

  • 毛鉤の種類
  • 毛鉤の種類



初めて使った竿は父親から譲り受けた渓流竿だった。壊れた竿をテープでぐるぐる巻きにリペアした2mほどのものだったが、振りやすかったのを覚えている。どうしても持ち手がコルクのかっこいい竿が欲しくて手に入れた時は嬉しかったが、昔の安い竿は曲がらないためにラインに力が乗らなくて飛ばせない、なんてジレンマに悩んだものだ。飛ばそうと思うと無駄に力が入って疲れるし、結局渓流竿を使っていたっけ。

ライン作り

今は自分が運営するオンラインストアで自作の毛鉤やラインを販売しているが、最初にラインを作ったのは小学校4〜5年生の時だった。とあるテンカラ名人のビデオを見たのがきっかけだ。家族で上州屋に行って、渓流釣りのVHSを買ってはみなで観ながら、ああでもないこうでもない言うのが行事だった。

  • 釣った
  • 釣った



名人は壊れた扇風機のモーターを使ってラインを撚っていたが、当然そんなものはないので、僕はミニ四駆のモーターで代用していた。回転が早くて大変だったが、子供の時分らしい試行錯誤を思い出してはクスリとしてしまう。今は手で撚っている。自分の納得いくところまで撚れるからだ。フロロカーボンよりも軽いナイロンで作っているが、テーパーにしているので先端まで力が伝わりやすく飛ばしやすい設計になっている。

毛鉤を自分で作り始めたのも同じくらいの時期だ。毛鉤やラインを作る楽しさは、その先の釣果の喜びに直結している。

 

テンカラ服

  • フィッシングベスト
  • フィッシングベスト



釣りというとベストを連想する人が多いと思う。ここ数年、ファッション的にもフィッシングベストがトレンドだったことも追い風となって、釣り場だけじゃなく街で見かける機会も増えた。かく言う僕はフィッシングベストは全く着ていなかったが、前述の通り本流に行くことが増えたので今シーズンから投入している。

テンカラは持ち物が少ないので、ポケットがいっぱいあるベストを必要に感じたことがなかったが、本流の釣りでは胸元からすぐに取り出したい小物類が増えたので進んで着るようにしている。

  • ゆうちゃんのフィッシングベスト
  • ゆうちゃんのフィッシングベスト



ゆうちゃんもしっかり長袖長ズボン。子供用の渓流シューズがないから、足元はただの長靴を履かせている。夏にはウォーターシューズを履かせていたこともあったが、山歩きで蛇なんかもよく出るので念の為長靴にした。アウトドアブランドのものなら多少は滑りにくい。ズボンはレインパンツで、トータルで派手な色にしているのは、エマージェンシーカラーと蜂や蚊などを少しでも寄せ付けないためである。

 

愛すべき道具たち

ゆうちゃんのツール

息子の道具はポップな色が多くて、こうして並べてみると楽しい。洋服も自分のものより子供のを見ている方がかわいくて楽しいのはあるあるだろう。ランディングネットは弟からもらったもので、息子にちょうどいい小ささである。レインウェアは必需品で、熊鈴やホイッスルも必ず携帯させている。

ロッドは子供用の2.4mだが、短くて届かないのが嫌なようで、どちらかというと2.9mを愛用している。どちらの竿も僕がプレゼントした。リュックには夢と希望と、お菓子がたくさん入っている。

私のツール

山歩きや沢を登るような渓流釣りの服装は身軽だ。今回は入退渓を繰り返す日帰りの釣りだったので、ミニマムな装備となっている。ザックにはレインウェアを忍ばせ、下半身はコンパクトになって持ち運びにも便利な撥水軽量パンツに膝当てと脛当てを装着。沢の釣りは膝くらいまでしか入らないのでこれで十分である。

靴に関しては本流はフェルトソール、沢はゴムソールというふうに分けている。ゴムは岩のぬめりで滑りやすいが、アプローチが長い時は歩きやすいので好んで履いている。

楽しいスタイル

いつどこでどう釣るかによって装備が大きく変わる釣りは、準備段階から楽しいものである。釣りのスタイルが変われば必然的に道具も変わるし、ベストな装備を求めて試行錯誤しながら進化していくものである。それが釣り人それぞれに見られるから面白い。

家族

道具について簡単に語ってはみたが、各々自分のスタイルに合った道具を見つけるしかないというのが僕の考えだ。家族と行く時はお弁当を持って沢沿いでランチしたいし、友達とのテント泊釣行ではザックも大きいのに変えてノンアルビールの1本くらいは忍ばせたい。独りで行く時は自分の仕事や活動的に、釣果を出さないといけないというプレッシャーがあるので道具もご飯もストイックになる。

装備も道具も釣りも、全部ひっくるめて「テンカラは難しいけど面白いから一度やってみて!」と声を大にして言いたい。