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トワイライトを釣り過ごせば

トワイライトを釣り過ごせば

新しもの好きで飽き性な私がアウトドア遊びを趣味として続けられているのは、常に新しい発見や景色に出会えるからだろう。たとえそれが家の近所での釣りだったとしても、そのときどきで状況は違うからいつでも新鮮な気持ちになれたりする。私がスタイリストという職業を選んだのも、たぶん、常に新しい刺激を与えてくれるファッション業界に面白さを感じているから。私はつくづく欲望に忠実なタイプ。思い立ったら即行動っていう性格が、今の私を形成している。

 

予定が早く片付いた日は

予定が早く片付いた日は

釣り暦7、8年。最初は近所の河口でのシーバス釣りからこの世界に飛び込み、どんどんエキサイティングになってきて、今ではロックショアがメインになった。はじめは不安定な岩場に立って、波飛沫を浴びながら釣りするなんてクレイジーだと思ってたのに、今じゃエスカレートしてずぶ濡れになってもなんとも思わなくなった。今では毎週のように房総や伊豆に通い、たまに佐渡まで遠征している。

スタイリストを生業としながら、こんなに磯釣りに打ち込んでる女性なんてきっといないし、正直自分でもキモいって思う(笑)。だけど磯の魔力は凄い。人の手が入っていない自然の雄大さを感じていれば、たとえ釣れなくても楽しいんだ。


仕事帰り

ただ、磯釣りが好きになったとはいえ、平日の釣り欲を満たしたいときには仕事帰りにシーバス釣りに行くこともよくある。

スタイリストの人って渋谷・原宿に行きやすい世田谷方面に住んでる人が多いけど、私の家は湾岸エリア。東京のど真ん中を突っ切ればどこでもすぐ現場に行けるし、気が向いたときに江戸前のシーバスと戯れることができるから、私が住むには最適な場所だと思う。


クルマにはあらかじめ釣り道具を積んでた

今日は午前中で撮影が終わり、借りてきた洋服の返却も午後3時に完了した。この仕事の労働時間ってまちまちで長丁場になる現場もあるけど、今日は超優良進行な一日。ま、こうなることを見越して、クルマにはあらかじめ釣り道具を積んでたんですけどね。

仕事終わりの場所の近くに良い釣りのポイントがないかチェックするのは私のクセなんだけど、今日は原宿で終わったから普通に家のほうに戻って隅田川へ行くことにする。

 

釣りと日常を繋ぐモノ

釣りと日常を繋ぐモノ

動くマイホームであるエクストレイルとは、もう10年以上の付き合い。荷物がたくさん積めるからスタイリストの仕事をするうえでも重宝しているし、アウトドア遊びにも申し分無し。休日は愛犬の「こつぶ」と一緒に出かけることも多いから、座席に毛がつかないビニールシートというのも地味にお気に入りのポイントだ。

カスタムといえるのは、釣り用に取り付けたロッドホルダーくらい。これは個人的にハンガーラックとしても活躍していて、服を運ぶときやアウトドアでのロケ撮影の時に重宝している。


趣味をオシャレ

釣りをやるようになってからは、明らかに自分の持ち物に変化が出てきたと思う。なにかモノを見るときも「これって釣りに使えないかな?」 という思考になったり、魚の形をしたモノに惹かれるようになって、見つけるとつい買ってしまったり。日常の小物からTシャツ、キャップに至るまで、私物のなかに魚柄が増殖中。最近は好きが高じて魚柄のアパレルだけを集めた古着屋をオンラインで始めてしまったほど。趣味をオシャレにとりいれたい人ってきっと私だけじゃないはず。

その思考がエスカレートしてしまって、この春からは魚柄専門のオンライン古着屋「Fish&Freaks」をオープンしてみた。釣り人の皆んながみんな魚モノのグッズを欲しがっているとは思っていないけど、私みたいに魚柄をさりげなくファッションに取り入れる人が増えたら面白いかなと(笑)。


釣りブランド

私がいうのもなんだけど、結局ファッションは自己表現にして自己満足のモノだから、他人にどう思われようと知ったこっちゃない。
私がいうのもなんだけど、結局ファッションは自己表現にして自己満足のものだから、他人にどう思われようと良いんじゃないかな。ファッションに釣りを持ち込んでもいいし、逆に釣りにファッション性を求めてもいい。

だから、ここ数年で釣りブランドがファッション系に力を入れているのは個人的に大歓迎。日常着と釣りウェアの境界線がなくなっていくことは、人類にとってメリットが大きいと思う。

 

暮れなずむ街の
川辺に立って

暮れなずむ街の川辺に立って

都内でのシーバス釣りの魅力は、日常の延長で釣りができること。ロックショアと違って、ジーパンにスニーカーって感じのラフな格好でもOKで、ルアーとタックルさえあれば仕事帰りや夜中にちょっと遊べる。そんなコンビニエントな部分がありながら、他の釣り同様に、状況をみて攻略するという、ゲーム性もしっかりある。


新調したルアーのテスト

隅田川はバチ抜けシーズンや潮の流れがいいときは釣り人が詰めかけるけど、今日はみんな釣れないと思っているのか、人影はまばらでのんびりムード。経験上、この感じだと釣れないよな〜と思いつつも、新調したルアーのテストも兼ねつつマズメを狙ってみた。

私にとってシーバス釣りは近所の散歩かジョギングのような感覚。運動不足の解消というか、釣り欲を満たすためのメディテーション的な役割を担っているから、とりあえずは釣りという行為自体ができれば満足なのだ。

 

隅田川のラプソディ

  • 隅田川のラプソディ
  • 都会の川沿いで釣り

夕日に照らされた隅田川沿いの遊歩道には、のんびりした空気が流れていて心地が良い。犬の散歩をしている老夫婦。放課後の時間を友達とのおしゃべりに費やす中学生。仕事を終えて家路につく会社員。潮目をみてシーバスの動きを妄想する私。

なにをもって自然というかはさておき、都会でも川沿いでこうして釣りをしていれば、自然遊びの醍醐味を感じられるから嬉しい。ロックショアの荒々しいものとは違うものの、隅田川の海底は意外にも岩がゴロゴロしてて、すべてが作り物というわけでもない。少なくともここでだって風の流れや太陽の熱を感じるし、潮の満ち引きがあって、どこかには魚も泳いでいる。

1人でキャストとリトリーブを繰り返す

遠くでクルーズ船が横切ってその波紋が護岸を濡らす。この光景はやっぱり都会なんだと思うんだけど、この曖昧な空間はアフターワークにはちょうどいい。1人でキャストとリトリーブを繰り返しながら、なにかを考えたり、なにも考えなかったり。

私にとってのシーバス釣りは、オンとオフをグラデーション的に繋げてくれる時間。リフレッシュすることで明日の仕事の活力にもなるし、休日の釣行へのモチベーションにも繋がっている。


トワイライトを釣り過ごせば
トワイライトを釣り過ごせば

Fish&Freaks
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