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振り返ればアウトドアが
生活の一部に

振り返ればアウトドアが生活の一部に

気づけば、自分の暮らしに外遊びは欠かせない存在になっていた。部屋にはいつも使っているギアが所狭しと並んでいるが、それらは、まだ見ぬ景色や特別な瞬間を求める僕の冒険心の象徴でもある。久しぶりに自宅で過ごす時間が増えた年の瀬に、ふと片づけをしながら振り返ったとき改めて思った。アウトドアライフは、すっかり僕の人生に根付いているのだと。

 

「山を知らない男」だった僕

「山を知らない男」だった僕

目の前に大きく広がる絶景に魅了され、まだ見ぬ境地に辿り着くまでのワクワク感に背中を押される。そんな最中にふと振り返ると、知らぬ間に随分と遠くまで来ていたことに気がつく……。そんな瞬間は、登山に限らずアウトドア遊びではよく身に覚えのある感覚だ。

普段はあらためて振り返ることはないものの、これって人生に置き換えても同じことがいえる気がする。約7年ほど勤めた会社から新しい道へ進むための準備期間、久しぶりに部屋の片づけをしていたら、いつの間にか外遊びの道具がものすごく増えていたことに気付いて驚いた。毎年年末には大掛かりな片付けをして必要なものだけ残すようにしている我が家だけど、どうやら自分にとって必要不可欠なギアの数は想像以上に増えていたようだ。

外遊びの道具

10年前は服で埋まっていたクローゼットも、気付けばアウトドアウェアの割合も多くを占めるようになり、道具部屋まで作るほどギアが増え、リビングにまで侵食している状態。20代でなんとなく始めたアウトドア遊びが、30代でアウトドア関係の仕事をするようになったことをきっかけに一気に本格化したのだと思う。
ファッションが好きで、大学を卒業してからはセレクトショップで働き始め、今も続いているプレスやマーケティングの仕事を覚えた20代。当時は役職柄、自らメディアに露出する機会も多かったけれど、個人的には「常にカッコつけていなければいけない」というのは少し重荷に感じていたところがある。その頃に登山にも目覚めたこともあり、縁あってアウトドア関係の仕事を始めることになり、結果的にファッションの呪縛からちょっと抜け出すいい機会ともなった。

ウィンタースポーツ

外遊びへの情熱が一気に加速したのにはいろんな理由があるけれど、転職してまもなくバックカントリーの仕事に参加したことが大きい。もともと父の影響でウィンタースポーツには馴染みがあり、自信もあったけれど、ゲレンデ外を滑るのはまったくの初心者。同僚やアスリートたちとのレベル差を痛感しながらも、そこから「もっとうまくなりたい」という想いが膨らんでいった。

  • フィールドカテゴリー

  • フィールドカテゴリー

そんなこんなで勝手にアクティビティにのめり込んでいっちゃって、スノーボードに登山、トレラン、自転車、海釣りと、ヒマを見つけては遊びに行くように。入社当初は「山を知らない男」と揶揄されていた僕が、まさか毎週のようにフィールドにいくようになるなんて誰も思わなかったのだろう。

元はセレクトショップ出身の僕に期待されていたのは、タウンユースカテゴリーでの活躍だったらしい。でも、フィールドに出かける楽しさに目覚め、自社製品だけでなく他社のギアも試しながら遊び尽くしていたら、次第に詳しくなっていった。そして気がつけば、フィールドカテゴリーを任されるまでになっていたのだった。

 

妻は外遊びの
相棒でもある

妻は外遊びの相棒でもある

アウトドア関係の仕事をしている関係もあり、周りに遊びに誘ってくれるアスリートや先輩たちも多い環境だが、なんだかんだいつも出かけるのは妻との2人旅が多い。週末何する?という話はいつもしていて、数週間前から計画を立てたり、その前の日に突然決まったり。自分たちの気が変わって誰かの予定を狂わせることもないから気軽なのだ。

  • 道具を揃える

  • 道具を揃える

妻も僕と同じく好奇心旺盛で、とりあえずなんでも挑戦してみたいタイプ。登山は結婚前から一緒に始めて、日帰り、小屋泊、テント泊、縦走、そして冬山、トレランと少しずつステップアップして、徐々に道具を揃えながら新しい景色を探しに出掛けている。2DKの一部屋を占領している道具部屋の半分は彼女のギアでもあるのだ。

  • 山登り

  • 山登り

山登りに関してはむしろ僕よりも妻のほうが前のめりで、次に登る山のルートも彼女が見つけてくることが多い。彼女はフリーランスで仕事をしているのだけど、山好きが高じて、僕を家に残し夏の2ヶ月間を山小屋で働きながら過ごしたこともあるほど。

とはいえ、はっきりした性格で「トレランはしんどいからもういい」「バックカントリーは経験できたからお腹いっぱい」「海釣りには興味ない」と、向き不向きをきっぱり区別するのも彼女らしいところ。それでも基本的に新しい景色を探しに行きたいという想いは同じだから、一緒に山に出かけているのだ。

 

自分たちの最適解を探して

  • 自分たちの最適解を探して

  • 自分たちの最適解を探して

縦走の装備と日帰り登山の装備が違うように、場面によって道具を使い分けるうちに、自然とギアが増えていくのは必然なのかもしれない。ファッションでいうカジュアルとドレスを分けるように、それぞれのルールや楽しみ方があるからだ。そして一通り揃った環境があることで、都会に住んでいながらもアウトドアが日常の一部になっていると実感する。

  • グラベルバイク

  • グラベルバイク

いつかは夫婦で山の近くに移住してみたい、なんて自然のなかでの生活に憧れもあるけれど、今は都会に住みながらふらりと出かける自由さが心地よい。

すでにロードやMTBもあるのに最近はさらに知人からグラベルバイクを譲ってもらい、自転車熱も再び高まってきている。まだ買い物など生活の足として使っている程度だけど、近々これにキャンプ道具を積んでツーリングにも出かけたい。……そんな風に、まだまだ僕たちの趣味は道半ば。しっかりと働きながら、まだまだ道具もアップデートし続けなければならなそうだ。

  • G-SHOCK

  • JETBOIL

僕が道具を選ぶとき、いちばん大切にしているのはスペックだけでなくて、自分にとって心地いいかどうか。たとえば時計なら、方位・気圧・高度・歩数など必要機能を備えつつアナログ表示が欲しいので、頑丈でソーラー駆動のG-SHOCKマッドマスターを愛用している。また、山での食事は燃料をどうするか、調理はどうするか試行錯誤をした末、結局はひとまわりしてアルファ米やフリーズドライに戻ってきてへ、それならばすぐにお湯が沸かせる機能だけあればいいとJETBOILにしたり。そうしてたどり着いた“自分なりの最適解”が増えるたびに、無駄が削ぎ落とされていき、純粋にやりたいことが見えてくるのが面白い。

お気に入りのギア

お気に入りのギアに囲まれながら、妻と2人で思いつくままに出かける。遠くの山へも、河原のサイクリングロードへも、少し先の海へも。アウトドアを満喫するほどに、もっとこうしたい、次はあれを試したいという願望が尽きず、だからこそ日常にいつも冒険心が隣り合わせになっている。

気付けば僕の生活そのものがアウトドアに染まってきたけれど、きっと今はまだ長い旅路の途中。新しいフィールドへ踏み出すたびに増える経験とギアが、これからの人生をさらに色鮮やかにしてくれるだろう。

Instagram: @wanibuchiwataru